こんにちは。元公務員のもりこねです。
私は、ノンキャリ事務系国家公務員として、20年以上の間、地方出先機関に勤務していました。
そんな公務員時代に、「キツイ!ツライ!むずかしい!」と感じていた仕事のひとつが、窓口・電話対応です。
特に、新人の頃と初めて担当する業務の際には、窓口や電話に出ることが苦行であり、仕事に行くのが憂鬱で仕方がありませんでした(苦笑)。
でも、そんな経験を重ねていくうちに、いつの頃からか、「窓口・電話業務は人間力が試される奥の深いやりがいのある業務である」と捉えれるようになり、苦手意識がなくなりました。
今回は、公務員の窓口・電話対応が(特に新人や若手職員には)なぜ辛いといえるのか、そして、拙いながらもどう対処してきたのかなどをお伝えしていきます。
- 窓口や電話対応にお悩みの公務員
- 公務員を目指している方にとっては情報のひとかけらとして
今回の記事が、そんな方々にほんの少しでもお役に立つことができたら、うれしいかぎりです。
窓口・電話対応は新人には辛い理由
窓口や電話対応が、特に新人職員にとってなぜ辛いのか、その理由を次のとおり4点挙げてみました。
- 新人でも即戦力
- 研修・フォローがない
- 相手(役所の利用者)は自分よりも人生経験豊富
- クレーマーに遭遇しやすい
これから、ひとつずつ掘り下げていきます。
ちなみに、これから挙げる内容は、私が所属していた組織(ノンキャリ国家行政事務)に限ることかもしれませんので、あらかじめご了承くださいませ。
新人でも即戦力
公務員は、新人職員であっても即戦力です!
これは、おそらくどこの役所でもみられる傾向だと思っています。
そして、電話や窓口対応は、まだ知識も経験もない新人職員でも任せてしまうというのが、役所というところなのです!(あな恐ろしや〜)
これは、職員本人にとってもキツイことですが、利用する側としても、満足なサービスが受けられるのかどうなのかと疑問に思ってしまいます。
利用者の相談内容や受けとめ方にもよるのでしょうが、「国民(利用者)を舐めとんのか!」と言いたい(苦笑)。
役所を利用する方のほとんどは、自分の悩みや問題、疑問をある程度解消することが目的です。
そうでなきゃ、できるだけ行きたくないですよね、役所なんて(笑)。
なので、自分の相手をしてくれる役所の人間が、昨日今日入った新人職員だろうが何だろうが、そんなことは知ったこっちゃないのは当然であり、自分の悩みや問題、疑問が解消されればそれでいいのです。
そして、もしそれを叶えることができなければ、不満が爆発したりクレームにつながったりと残念な結果となってしまいますので、新人職員には非常に酷だと思うのです。
なぜ、いきなり何の知識や経験もない新人職員に、窓口や電話対応をさせるのかについて、私はこう分析しています。
- とにかく人手が足りない
- OJT研修の一環(カラダで覚えろ!的な)
- 窓口や電話対応は評価が低く重要視されていない
- 窓口や電話対応に時間が取られることで(評価の高い)業務が滞ってしまう
- クレーマーに遭遇する確率が高くなるので、自分はなるべく避けたい心理から
少し辛口発言になりますが、窓口・電話対応は、表向きは「行政の顔」なんて持ち上げているようにみえるものの、実のところそれほど重要視されない業務であると、私は常々感じていました。
それゆえなのか、どうしても新人や若手職員に、その業務が偏りがちなのです。
たしかに、窓口や電話対応は、知識や経験を身に付けるのには手っ取り早い方法です。
でもそれには、ある程度の研修や上司や先輩などからのフォローがあってしかるべきだと私などは思うわけなのですが、それがほぼ「ない」という由々しき事態に直面しているが、新人・若手職員なのです。
研修やフォローがない
本当は、「公務員にまともな研修がない」ということを一番にいいたくて記事を書き始めましたが、熱くなりすぎてこれだけで相当長文になってしまったので、詳しいことは後々別記事にしていくこととします。(ただし、お約束はできません〜笑)
今回はその形式的な新人研修をちょこちょこっと受けただけで、いきなり窓口や電話での対応を強いられる(!)のが、公務の職場ということをぶちまけていきます。
これは、配属された部署やその時の上司、先輩にもよるところがあるので全員がそうだというわけではありませんが、その割合は高いんじゃないかと思うのです。
私が入省した頃は、「背中を見て覚えろ」なんていわれて、「職人かよ?」と思ってました(笑)。
「まずは身体で覚えろ」「やってみろ」という考え方を否定はしませんが、それは(タイミングを見計った)フォローや指導があってはじめて功を奏するものです。
そして、これも職場体制によるのでしょうが、「OJT」などあってないような職場の場合には、上司や先輩からの指導やフォローはありません。
ちなみに、私が公務員を辞めてはじめて就職した法人では、この「OJT」がバッチリ機能していましたよ!
そもそも、役所の世界では、自分が先輩・上司から教えてもらってないので、後輩・部下にうまく教えられない職員が多いのです。(私もそうでした)
さらに、新人職員が社会人経験がない場合は、ビジネスマナーも身につけていないまま対応しなければならず、まさに二重苦、三重苦です。
私は、何も研修さえすればいいと思っているわけではありません。
先のことを考えない場当たり的対応が常習化し、人材を育成するという意識が薄いということが、なんとも残念であり、新人・若手職員にとっては悲劇であるといいたいのです。
役所の利用者は自分よりも人生経験豊富
配属された部署にもよるのでしょうが、新人や若手職員にとっては、役所の利用者は自分よりも人生経験豊富な方が多いと思います。
さらに、悩みや問題を抱える方々やなんとも個性的な方々の対応は、なかなか一筋縄ではいかず、どうしたらよいのかと悩まれている新人・若手職員も少なくないのではないでしょうか。
(悩みや問題を抱えているから役所に行くわけなので、そういった方が役所に行くことをいけないといっているわけではありませんよ)
そんな中でも、公務員になる前にこんな経験のある職員は、窓口・電話対応が割とスムーズにこなせていると、現役時代に様々な職員を見てきて感じています。
- どこかに雇われていた、あるいは起業していた
- 人と関わる活動をガンガンしてきた
- ものすごい挫折や苦労をして世の中の酸いも甘いも味わってきた
- 自分のやりたいことや好きなこと(例:バンド活動や海外放浪など)をして暮らしていたことがある
他にもまだあるかとは思いますが、こういった経験のある職員は、業務内容はまだあまり理解できなくとも、相手の気持ちにある程度寄り添ったり、臨機応変に対応できる人が少なくありません。(やはり全員ではありませんが)
そして、わからないことは、程よいタイミングで上司につなげるとか、確認する時間を設けるようにして、相手を不快にさせないよう機転を利かすこともできます。
それでもつまづいて悩む職員が多いくらいなので、窓口・電話対応は机上の勉強だけで身につくようなそんな甘いものではなく、どんな業務よりも難しいと思っています。
だからこそ、窓口・電話対応は、誰もが最初からうまくできなくて「当たり前」なのです。
クレーマーに遭遇しやすい
公務員を悩ませるクレームですが、窓口や電話に出る機会が多い新人や若手職員は、どうしてもそんなクレーマーに遭遇する確率が高くなってしまいます。
なかなか厳しいお人の相手をし続けなければならないそのストレスは半端じゃないことは、私も経験していて、今思い出してみてもため息が出るほどです。
民間企業の場合は、よほどの悪質クレーマーであれば菓子折りひとつでも出して謝罪し、覚悟の上で「もううちは使ってもらわなくてもいい」的なことを宣言することができます。(たぶん・・・違ったらごめんなさい!)
役所は、クレーマーを出入り禁止にすることは基本的にはできません。
かつ、上司や先輩の中で、積極的にクレーマー対応を申し出る人もそうそういません。
よほどの悪質常習クレーマーでなければ、上司が対応することはないのです。
当たり前ですが、みんな嫌な思いはしたくないですから。
そして、忙しいを「理由」にするのです。
相手(クレーマー)は、新人・若手職員にとっては、自分よりも社会人経験、人生経験豊富な百戦錬磨の方々です。
ろくな研修もフォローもなくいきなり現場に立たされ、運悪くクレーマーにより罵詈雑言を浴びる・・・
地域社会を良くしていきたいと純粋無垢に意気揚々と公務員になった新人職員から、段々と目の輝きが失われていくのは当然のことだと思うのは、私だけでしょうか。
そして、私自身もそれを見ていながら何にもできず、自分のことだけで精一杯だったのです。
「クレーム対応経験」については、過去に記事を挙げていますので、よろしければご覧いただけるとうれしいです↓
窓口・電話対応が苦手だった私の対処法
新卒職員で頭のかたいくそ真面目(!)な性格で、友人からは「ちょっと何いってるかわかんない!」と言われるほど人に説明するのがド下手だった私は、窓口・電話対応は本当に苦労しました。
そんな私が、苦手意識を解消すべく自分で考えたり上司や先輩からのアドバイスをもとに実践したことは、以下のとおりです。
- 「習うより慣れよ」で場数を踏む
- 「真剣勝負」で相手の話を聴く
- わからないことは他の職員に教えてもらうことを厭わない
- 対応が上手な職員の一部を真似てみる→オリジナルへ
何しろコテコテの昭和女なので精神論チックなところがあるのは否めません。
でも、自分で言うのも気が引けますが、これらを意識して実践してきたことにより、それなりに対処できるようになったと思っています。
それを、これから1つずつ掘り下げていきます。
「習うより慣れよ」で場数を踏む
「結局そこかよ?」という声が聞こえてきそうですが、結局はそこなんです(笑)。
中には、素晴らしいセンスと頭脳の持ち主で、すぐにスムーズに対応できる職員も稀にいるのでしょうが、それは今回は横に置いておきます。
「習うより慣れよ」で場数を踏む、最初はそこしかないと私は思っています。
できれば嫌なことはしたくはないですが、仕事である以上どうしても避けては通れないこともあります。
どうせやらなきゃならないのであれば、自ら喜んで(?)やってやろうじゃないですか!(←半ばやけくそやな)
・・・な〜んていつも思えていたわけではないですが、とりわけ劣等生だった私は、同世代の職員がうまくこなしていく中、自分はそれができないと悩み苦しみ模索していました。
そして、怒られたり恥を晒しながらも、さまざまなタイプの利用者や相談パターンに対応していきました。
するといつの頃からか、利用者や職員から窓口や電話対応のことを評価してくれる人が、ぽつぽつとあらわれはじめたのです。
真剣勝負で相手の話を聴く
「窓口は真剣勝負なんだ」
20代の頃にペアを組んでいた、とても目力の強い(笑)先輩職員の言葉です。
「うちの役所にわざわざ来るのは、その人にとってはまさに生きるか死ぬかほどの真剣なことかもしれない。その思いに対し、こちらも真剣に対応しないと失礼だ」
そんな意味合いのことを、その先輩は熱く語ってくれました。
その先輩は、たしかに知識も経験も豊富で説明も上手な人ではありましたが、何よりも利用者に対する真摯な姿勢には目をみはるものがありました。
利用者に対しては、優しい言葉ばかりではなく時には厳しい内容のことも伝えてはいるものの、最後まで真剣に相手の話を聴いて丁寧に回答しているので、満足して帰っていかれる利用者が多かったのです。
そういえば、私が窓口でトラブルになりそうな時は、横からスッとフォローしてくれていました。
その先輩と出会い、私も「真剣勝負」で話を聴こうと意識をし始めてからは、だんだんと苦手意識がなくなっていったように思います。
わからないことは他の職員に教えてもらうことを厭わない
窓口や電話対応で、相手から自分がわからないことを質問された時、上司や先輩、他の職員に躊躇なく教えてもらうことができますか。
声をかけるとちょっと嫌そうな顔をしたり、そもそも声をかけるなオーラが全開な職員も少なからずいて、非常に聞きづらい状況であることは私も経験しています。
でも、間違った返答により、利用者に不利益になってしまうことだけは避けなければなりません。
ここは、職員からどんな対応をされたとしても、できるだけ「正しい答え」をできるだけ「早急」に獲得し、それを利用者に伝えるということが、その時の自分に与えられた役割なのです。
「わからないことを聞けるのは若いうちだけ」なんて言われていますが、私などは辞める直前になってもまだわからなことだらけで、上司・先輩どころか後輩やベテランの非常勤職員にまで聞いていました(苦笑)。
さすがにいい年してからはありませんが、若い頃は、上司や先輩に対応をかわってもらったこともあります。
それが、「利用者のため」という体なので、職員にどんな反応をされようともあまり気になりませんでした。
自分のことはいつまでも無知であることを自覚しているつもりなので、わからないことを人に聞くことに今でも躊躇いはないのです。
対応が上手な職員の一部を真似てみる→オリジナルへ
過去記事の「クレーム対応経験談」でも挙げたことですが、
「この人の対応、上手いな」
「この人が今使った言葉、わかりやすくていいな」
「このスタイルなら、私でもなんとかできそうかも」
そう感じた職員がいたら、その一部でいいので迷わず真似をしていました。
人はそれを「パクリ」というのでしょうが、私は過去に、目の前のデスクに座っているちょっと苦手だった「後輩」の言い回しを、まんまパクってみたことがありました。
そうしたところ、利用者にもすんなり伝わるわ、その後輩との関係も良好になるわで、いいことだらけになったのです。
たとえ自分が「苦手だ」「嫌いだ」と思っている人でも、「これいい!」と思った言動はどんどん真似していくと、少し状況が変わるかもしれません。
私はこれまでほとんどが無断でパクってきたのですが、「パクるな!」と文句を言ってきた職員は皆無であり、かえってその職員と関係が良くなったほどです。(ただし、保証はしません)
だって、仮に自分がパクられたとしても、嫌だとは思いませんから。
最初は真似から入るものの、場数を踏むうちに、自分のオリジナルなスタイルで対応できるようになっていきます。
そうなると、これまた今度は、窓口・電話対応の醍醐味を味わうことができるのですよね。
窓口・電話対応のメリット
窓口・電話対応は、こう言ってはなんですがあまり人気のない業務であることは、前述したとおりです。
でも私は、次のようなことが得られると思っているのです。
- 業務を最短で覚えられる
- 極めればどこでも使えるスキル
- 鋼のメンタルになれるかも
- 人と関わることで学びや気づきが得られる
では、ひとつずつ掘り下げていきます。
業務を最短で覚えられる
先に挙げたこととかぶってしまいますが、窓口・電話対応を通じて最短で業務を覚えられることはたしかです。
「そのやり方が少し乱暴すぎやしませんか?」ということを言いたかっただけなのです。
窓口・電話業務に寄せられる利用者からの質問・疑問・相談・要望等をきっかけに、まずは自分なりに調べる(勉強する)ことができます。
それを最初はたどたどしくも自分の言葉で相手に伝えることで、デスクで集計したり調査書を作成するよりも確実に自分の血となり肉となります。
理論だけでなく、身体で仕事を覚えることができるのは明白なのです。
極めればどこでも使えるスキル
事務系公務員をやっていても、それ以外に使えるスキルを得られないなんて言われています。
私もそれは一理あると思っていますが、事務系公務員の仕事でも、その内容によっては、とことん極めてしまえば術になるものもあります。
そして、この窓口・電話対応を極めることこそ、人がいる以上どこでも使えるスキルになるとさえ思っているのです。
このあたりの詳しいことは、また記事にしていきたいです。
鋼のメンタルを通り越して柳の如くしなやかになれるかも
今のこの時代にこういう言い方はウケが悪いのでしょうが、窓口・電話対応は「ストレス耐性」がつきます。
ひょっとしたら、鋼のメンタルなんていうものを通り越して、柳の如くしなやかになれるかもしれません。
いや、なったからいいというわけでも、なることを推奨しているわけでもありません。
でも、私の場合は、柳のしなやかさにはまだまだ程遠いですが、ある程度スルーできるようなメンタルが備わってきた頃から、気持ちが楽になり苦手意識が薄らいできました。
ある程度したら気持ちを切り替えるとか、気にしないようにするとか、割り切るとか・・・
まともに受け止めるんじゃなく、スルッとかわすというのか、右から左に受け流す(そんなお笑い芸人がいましたよね)というのか、そんな感じです。
難しいことではありますが、そうでないと、潰れてしまいかねません。
若手職員が、役所の窓口・電話対応で潰れてしまう光景を見てきて、こんなもったいないことはないと思っています。
人と関わることで学びや気づきを得られる
こちらがサービスを提供しなければならない立場であるのに、利用者の方から教えていただくことが、これまで数多くありました。
私が好きな言葉に、吉川英治氏の「我以外皆我師」があります。
自分以外の人やモノなどのすべてが、自分に何かを教えてくれる先生だということです。
今思えば、どんな人からも自分にとっても学びや気づきを得られていました。
窓口・電話対応をする頻度が高まるのと比例して、そんな自分以外の人(師)と遭遇する機会が増えていきます。
窓口・電話対応をしなければならない環境下に置かれてしまった場合は、そんな考え方もあるんだな程度に、頭の片隅にでも置いておいていただくのもよろしんじゃないでしょうか。
おわりに
公務員の窓口・電話対応について、現役時代の思い入れが強かったのか、かなり熱く語ってしまい、驚くような長文になってしまいました。
窓口・電話対応が得意という方もいる一方で、どうしても合わなくて毎日が苦しくて仕方がないという方もいるのかもしれません。
そういった方は、離れる(休職や退職、配置転換希望を出す等)という選択もアリだと思っています。
この記事は、間違っても「窓口や電話対応が苦手な私でもそれなりにこなせるようになったので、頑張って克服していきましょう!」という意味合いで書いたわけではありませんので。
お悩みの渦中にいる方に向けて、悩んでいる人はここにもいるよ(いたよ)ということをお伝えしたいという思いと、公務員になりたい方に向けての情報提供のためなのです。
ありがとうございました。