こんにちは。元公務員のもりこねです。
公務員を悩ませていることの一つに、窓口や電話での利用者からのクレームがあります。
実は20代の頃の私は、クレームを収めるどころか、逆に利用者を怒らせてしまう大変残念な人でした。
そんな私も、経験を重ねるにつれ、それなりにクレーム対応のコツを掴めるようになり、そのうち「やりがい」さえ感じるようになったこともあります。
クレームにやりがい!?
・・・ちょっと何言っちゃってんのかわかんない感じですよね(苦笑)。
こんな変態的(!)な私の、クレーム対応の変遷を語ってみます。
- 窓口や電話のクレーム対応が辛い!仕事を辞めたいと思うほど悩んでいる
- またひどいクレームを言われると思うと、仕事に行くのが憂鬱である
- 過去に受けたクレームが、トラウマになっていてストレスである
はっきりいいますが、クレームで自分の大事なエネルギーを奪われるなんて、本当にもったいないことです。
僭越ながら、そんなことが少しでも減って心が軽くなるようなお手伝いができたらいいなという思いで、この記事を書いていきます。
黒歴史な私のクレーム対応
クレーム対応のこなし方云々の前に、私のクレーム対応に関する黒歴史を語っていきます。
こんなヤツでもクレームを収めることができるようになるんだと、ほっとするかもしれませんよ(笑)。
窓口や電話の問い合わせでよく怒られていた
今こうして「クレーム対応」云々とエラそうに語っている私ですが、20代の頃は、窓口や電話でのお問い合わせや相談では、相手の方からいい具合に怒られていました(苦笑)。
全く悪気はないのですが、相手からみれば「コイツ、ムカつく!」「コイツ、腹立つわー!」と思わせるような「何か」があったのかもしれません。(悪気がないことが問題だったのかしら?)
中には、電話に出た瞬間に、「なんだ、女か!男に替われ!!」といきなり男性から罵声を浴びたことも(苦笑)。
でも当時は、そうそう上司に替わることは許されず、「自分で完結せよ」という雰囲気だったので、最後まで頑張っちゃった経験もあります(怖かったぁ~)。
もちろん、自分に非があったり力不足があったことは認めますが、どう考えても理不尽でしょ?と言われるものも、あったりしたんですよねぇ。
いずれにしても、いろいろと経験だけはしているつもりです(笑)。
上部機関に言いつけられたことも
私の対応に腹を立てた方が、上部機関に「言いつける」ということもありました。
上部機関の偉い方から、「うちにクレームが来たよ」というありがたい報告をいただたことがあるのです。
上部機関にまでいってしまうと、周りの職員からは「あの人はクレームを受けた人だ」という印象は拭えません。
クレームを受けることは、やはり気持ちのいいものではありませんし、余計な時間も取られます。
なので、そうならないためにはどうすればいいのかを考えるようになり、試行錯誤していくようになりました。
クレーム対応を体得するために試したこと
クレーム対応をうまくこなせるようになるために、私なりに試してみたことを挙げてみます。
仕事を覚える
言うまでもないことなんでしょうが、やはり仕事を覚えることです。
その理由は私が述べるまでもない当たり前のことなのですが、一応挙げていきます。
- 仕事の知識や情報量が増えれば、利用者によりよいサービスが提供できる
- 相手からの質問、疑問にも、迅速に的確に簡潔に対応できる
ここで、仕事を覚えていない職員に対応された利用者側に視点に立ってみますと、こんなふうになります。
まわりくどい言い回しがイライラする!
質問したことと答えがズレてる!意味不明!!
役所ならではの専門用語はわからない!誰にでもわかる言葉を使ってほしい!
業務の知識が身についていない故に、起こりやすいことなのかと思います。
そして、当時の私は本当に仕事ができない人間でしたので、相手からのこういった反応が多かったのです。
仕事ができないから自信がない、ということもあったのでしょう。
自分は丁寧に対応をしているつもりなのに、なぜ怒られるんだろう?なんて、いつもとんちんかんなことを思っていました。
まずは当然のことですが、自分が任された仕事を覚えることです。
ただ、その仕事を初めて担当する場合は、どれだけ優秀な人であってもすぐには難しいものです。
仕事ができない私が手始めに取った方法は、主にこの3点でした。
- 相手に話を最後まで聴くこと
- 相手が言いたいことや知りたいことは何かを、的確に把握するよう努めること
そして、業務に詳しい職員に正しい答えを教えてもらうという繰り返しをしたのです。
そうすることで、上記のような利用者のイライラを防ぐことができていたように思います。
もちろん、それでも失敗はまだまだありましたけどね(笑)。
対応が上手だと思う職員の真似をする
私は、おしゃべりは好きな方なのですが、相手に伝わるように話をすることが得意ではありません。
仕事もできない、話も下手、人付き合いも良くないと、まあ、職場では問題児でした(笑)。
このままの自分で終わってしまうのも、なんだかしっくりきません。
そこで私が取り入れた方法は、こんな感じです。
- 「この人の対応っていいな」という職員(先輩・後輩問わず)がいたら、ひっそりと観察する
- その中で、表情、しぐさ、言葉遣い、声色、抑揚、話の順番等々、自分がしっくりくるものがあれば、どんどん取り入れてみる
最初からもちろんうまくはいきませんでしたが、そのうち自分独自のものになっていったのかなと自負していますし、オリジナルでできるようになると、もっと楽になっていったように感じます。
上司や先輩に伝える
大きな問題にならないようなチクチクしたクレームの場合は、いちいち上司や先輩に報告することはありませんでした。(上司にもよるのでしょうが)
でもこれは私の場合ですが、状況が許されれば、仕事の合間などに「こんなこと言われちゃいまして~」というような雑談的な雰囲気で、上司や先輩に伝えていました。
それをしたことで、こんなメリットがあったのです。
- 人に伝えようとするので、頭を整理することができる
- 状況を客観的に見れるようになる
- 相手が何に対して不服だったのか、どんなタイミングで怒ったのかに気づき、次への対策のヒントになる
- 吐き出すことで、スッキリする
- 上司や先輩からアドバイスがもらえる可能性がある、もしくはアドバイスを求めることができる
すべてを上司や先輩に伝えていたわけではありませんし、その上司や先輩との関係性もありますので、この方法をお勧めするわけではありません。
でも、人に話すというのは、メンタル面からみてもとても大切なことだと思っています。
私独自のクレーム対応で心掛けていたこと
こんな具合に、クレーム対応に四苦八苦しながら、そして試行錯誤しながら、自分なりのクレーム対応を身につけてきました。
もちろん、間違っても「お手本にしてね」なんて言えるようなものではありません。
でも、明らかにクレームは減りましたし、クレームに過剰な恐怖心を抱くことも少なくなりました。
そんな私独自のクレーム対応心得をお伝えしていきます。
相手の話を最後まで聴けば9割解決したようなもの
「人の話を最後まで聞く」
それができれば、9割方このクレームは解決したといっても過言ではありません。(私の持論です)。
なぜそういえるのでしょうか。
- 人は自分の話を聴いてほしい人が大半なので、自分の話を聴いてくれる人に対して、嫌な気持ちは抱かない
- 自分の話を聴いてくれる人からの言葉が、多少耳の痛いことであったとしても、聴く耳を持つようになる
- とことん話すことでスッキリして、悩んでいたことや腹を立てていたことが、もうどうでもよくなる
でも「人の話を最後まで聴く」ということは、簡単なようでいて意外と難しい。
自分はできていると思っても、それがけっこうできていないのです。
気がついたら途中で相手の話に割り込み、説明をしてしまっています。
はい、これはまさに私のことです(苦笑)。
特に相手が、「いやいやあなた、それはどう考えてもおかしいでしょ?」や「無理難題をいってる」という場合は、こちらも人間ですから、ゆるやかにでも反論したくなります。
そこで、いくら丁寧な言葉遣いで「この制度では難しいんですよねぇ・・・」なんて正論を言っても、それが話の途中でご立腹マックス状態のタイミングであれば、火に油を注ぐようなものなのです。
正論ゆえに・・・です。
相手の話を最後まで聴いたうえで、タイミングを見はからって、業務として伝えなければならないことを、柔らかくも毅然とした態度で伝える。
これで、ほとんど納得してお帰りいただくことができました。
もちろん、すべてがうまくいっていたわけではなく、やはり痛い思いをした時もありますが(笑)。
この時だけは「時間がないのに」の思いは捨てる
最後まで話が聴けずに途中で割り込んでしまう原因の一つに、「時間がない」というのがあります。
管理職でない職員は、自分の与えられた仕事をこなすのに必死なので、時間をとられがちなクレームを、根気強く聴ける余裕がありません。
「あーーもーー時間がないのにーーー」という思いから、早く終わらせようと相手の話を遮ろうとしてしまいます。
それでうまくいく(帰られる)場合もありますが、たいていはそれでは収まりません。
これは、数々の試行錯誤を重ねた私の経験によるものです。
- 「急がば回れ」
- 腹を括って、ゆったりした気分で「聴くこと」に集中する
これに関して、つたないながらも私の経験をお伝えします。
最初から、「時間がかかるパターンだ」と感じた利用者さんがいました。
これはもうじっくりお付き合いさせてもらうしかないと腹を括り、ゆったりした気分で「聴くことに集中」しました。
すると、割と早い段階で、相手の方から「わかった!」と言って自分で納得して帰られたのです。
他の要因ももちろんあったとは思いますが、こちら側の気持ち(エネルギー)って伝わるのかもしれないなと思った出来事でした。
気持ちを切り替える
クレーム対応が終ったら、できる限りでいいので、気持ちを切り替えることです。
勤務時間中は仕事で忙しいのでそうでもないのでしょうが、仕事が終わって1人になった時や、夜寝る前などに、そのクレームを思い出してしまうこともあるでしょう。
それはしかたのないことではありますが、できる限り気持ちを切り替えて引きずらないことが、自分の心身をまもるためにも大事なことです。
特に理不尽なクレームについては、対応した職員に文句をいいたいわけではなく、行政や制度、ひいては「この不条理な世の中全般」に文句を言いたいのです。
それに、「たまたまあなたが当たってしまっただけ」です。
私のせいだけじゃなくて、「たまたま自分が当たっただけ」だったりするんだよね〜
私はいつもこういう心持ちでいたので、クレーム対応をしても、わりとすぐに気持ちを切り替えることができました。
「反省しない人」といえるのかもしれませんが(笑)。
自分1人で解決しなくてもいい
「上の者を出せ!」
そう言われたとしたら、「上司にかわってもらってください」と私は思いますし、自分が上司になった時にも部下にはそう伝えていました。
これは、私が所属していた組織だけだったのかもしれませんが、上司がかわって対応することは、頻繁ではないにしてもそう珍しいことでもなかったのです。
といいますか、ある程度相手の言うことが「堂々巡り」になってきたら、上司に対応をお願いする方が、私は得策だと思っていました。
私のこの考えに対して、「それは間違っている」という批判があろうことは承知しています。
公務の職場であろうが民間であろうが、「上の者を出せ!」と言われて、そう簡単にかわってはダメであり、「私がこれについての責任者です」と最後まで対応することが、いわゆる常識とされています。
それでも私は、限界だと感じたら、かわってもらっていいという考えを覆す気はありません。
その理由は、次のとおりです。
- ブレイクすることで場の空気が変わり、相手が少し落ち着いたり心変わりをすることがある
- 上司にかわることで、自分が大事にされていると相手に感じてもらえる
- そこまでするほどでもなかったのに・・・」と逆に相手がへりくだる
人と人との関りなので、相性もあります。
そして、上司や先輩は、人にもよりますがそれなりに場数を踏んでいます。
それから、一番最初にクレームを受ける人より、次に対応した人の方が、圧倒的に楽です。(私は部下のクレームを引き継いだ時にそう感じました)
自分1人で解決しようという思いはすばらしいです。
でも、日頃から真面目に精一杯やっている人は、クレーム対応もおそらく真摯に対応している人でしょう。
でしたら、そんな人こそ、時々は他の人の力を借りるのもアリなのではないでしょうか。
でないと、自分の仕事が進みませんし、心身に支障をきたす可能性もあります。
まあ、クレーム対応が大好きだとか、プライドが許さない!という方であれば、もちろん話は別ですよ。
ちなみに、「公務員の窓口や電話対応」はけっこう辛いものがあると私は常々思っていましたので、それについての記事を挙げてみました↓
よろしければ、のぞいてみてくださいね。
おわりに
クレーム対応の心得なんていうことを、ちょっとエラそうに先輩風吹かせて語ってみました。
公務員に対するのクレームは独特なものがあり、その対応も「拒否できない」ものなので、そこが民間とは違うキツイところだと思います。
そして、このつらさは、「公務員でないとわかってもらえない」いうこともあります。
そんな中で、私の失敗談やちょっとうまくいった話などが、ほんの少しでもいいのでお役に立てていただけるのであればうれしく思います。
ありがとうございました。