2024年6月某日、人生初の「田植え」をしました。
1年越しの願いが叶い、無農薬の田んぼで、米作りをスタートしたからです。
ということで今回は、田んぼ作業のメインイベントともいえる「田植え」の様子を、備忘録も兼ねてお届けしてまいろうかと思っております。
泥だらけになりながらの地道な作業は、50sには正直キツかったです。。。
しかしながら、目の前の苗にひたすら集中しておりましたら、「田植えハイ」という田んぼの妖精(?)が舞い降りましてですね(笑)。
最後の苗を植えた瞬間、すべてが報われたような達成感や爽快感に包まれたのでした。(一瞬、あっちの世界へ連れて行かれたような???)
「農家さんってすごい!」
「自然に感謝!」
そんな柄にもないことを感じさせてくれるような、なにものにも代え難い経験をいたしました。
ということで、この記事はこんな人におすすめかもしれません。
- 無農薬の米作りに興味がある人
- ド素人が田植えをする様子を見てみたいという奇特(?)な人
音声でさくっと聴きたい方には、こちらをどうぞ。
ちなみに、お米作りのきっかけにつきましては、過去に記事を挙げていますよ。
どこの田んぼ?どんな田んぼ?
まずは、どこのどんな田んぼで米作りをするのかということから、ざっくりとお伝えします。
現時点では詳細は控えますが、お世話になっている農家のSさんからお借りした田んぼは、群馬県のとある市町村。住宅街の一角にあるコチラ↓です。
田んぼがはじまる1ヶ月半前に撮影したものなので、まだ水は張られていません。
そして、この広大な土地を、まさかの素人が一人でやるわけではありませんので、驚かれませんよう(笑)。
私がお借りしたのは、この中の1区画(100㎠)です。
ということで、田植えの際には、こんな感じ↑で、しっかり水を入れていただきました。
農家のSさん、ありがとうございます!!
そう、この農家のSさんは、先ほど紹介したこちらの記事↓にもまとめているとおり、「田んぼ部」という企画を運営されています。
田んぼの1区画を、米作りの希望者に格安で貸し出し、部員(メンバー)は各々のペースで米作りができる・・・そんな環境を整えてくださっているのです。
代掻き(シロカキ)作業を、Sさんには2回も行っていただきました。
代掻き(シロカキ)
引用元:コトバンク・デジタル大辞泉
田植えのために、田に水を入れて土を砕いてかきならす作業。田掻き。
そのおかげで、この記念すべき日を迎えることができたのです!
田植えに最適な時期は、限られています。
なのでこの日は、他の部員さんとその家族や知人・友人が大勢集まり、田植えに勤しんでいました。
あ、「部員」といっても、学生時代の一般的な部活動のイメージとは、ちょっと違う感じかもしれません。
この「田んぼ部」は、もう少しゆるいというのか、自由度が高いという感じで、それが心地いいのです。
それもこれも、Sさんのお人柄あってのこと。
とはいっても、自然相手の米作りですから、舐めたらアカンです。根性が必要な時は、もちろん本気出しますよ。
さて、前置きはこれくらいとしまして、ここからは、本題ともいえる田植えの様子をお届けしてまいります。
田植え、やるべ!
さぁ、いよいよ人生初の田んぼへの入水です!
一礼をして、おそるおそる「裸足」で踏み込んでみました。すると・・・
なんて気持ちがいいのでしょう!
「地に足つける」とは、まさにこのことをいうのでしょうね。おおげさでなく、「今を生きている」と実感した次第です。
さて、そんなこんなで喜ぶのはここまでです。
時間や天候の関係があります。すべてを手作業で行なっていきますので、さっさと田植えをはじめますよ。
まずは、田んぼ部1年生の私と急遽参戦したオットの二人は、Sさんから田植えのレクチャーを受けます。
まずは、どこに苗を植えるかというところから。これは、Sさんの農園での方法です。
- 田んぼ区画内で、東西(もしくは南北)の端から端に印のついたヒモを張り、その印に沿って苗を植えていく
- 1列終わるごとに次の列に移動し、同様に印にそって苗を植える
- その繰り返しを、ひたすら行う
写真を撮る時間や余裕がなかったため、稚拙な文章での説明となりましたが、わかりづらければごめんなさいです。(ていいますか、これでわかった人は相当勘がいい!)
一番いいたいのは、とにかくひたすらに同じ作業を繰り返すということです。
これは、人海戦術ですな。当然のことながら、人がいればいるほど、早く終わるし楽になりますので、人は大事です、はい。
来年、またこの田んぼの一画をお借りできるのであれば、今度は助っ人を募集したいなと(笑)。
で、植える苗は、こちら↓です。
Sさんによると、苗は命の源。今はかよわき苗ですが、これが命をつないでいくと思うと、たくましいですよね。
ちなみに、品種は「アサヒの夢」。ゆっくり植えても大丈夫な品種です。
そうそう、事前に「苗取り」という作業もできるのですが、今回は何もわからない1年生なので、Sさんにお願いしておりました。来年もできるのであれば、やってみたいと思っています。
苗取(なえとり)
引用元:コトバンク・精選版日本国語大辞典
田植をするために苗代から苗を抜き取ること。早苗取り。
で、実際に苗を植えていくわけですが、Sさんがわかりやすく教えてくださったことをまとめました。
- 苗は、1か所に2本植える
- 植えるコツは、中指の先あたりに苗の根元がくるように苗を添えて、そのまま中指を地面に入れることで、苗がすっと地面に吸着されていく感じになる
ちょっと意味がわからなかったらごめんなさいなのですが、一応、画を残してありますので、なんとなくなイメージを掴んでみてくださいね。(写真のモデルはオットなので参考にならないですが、あくまでなんとなくなイメージで)
ということで、田植え開始です!
さあさあ、どんどん植えていきますよ!
とはいってもですね。最初はよかったのですよ。
「わー、カエルだ!」
「おたまじゃくし、かわいー!!」
と、歳も忘れて童心に戻り、「ザ・ぼくのなつやすみ」を体験していました。
ところがですよ。
同じ作業の繰り返し、中腰姿勢、炎天下・・・
同じ作業の繰り返し、中腰姿勢、炎天下・・・・・・(大事なことだから2回書きました)
同じ作業の繰り返し、中腰姿勢、炎天下・・・・・・・・・(大事なことだから3回・・・)
これで、少しずつ気力と体力が落ちていくのがわかりました。
覚悟はしておりましたが、やはりキツいですな(苦笑)。
わずかな日陰で休憩し、水分補給。でないと、確実にシにます・・・
オット「もう半分はいったよね♪」
わたし「いや、まだ3分の1だ!」
オット「もうすぐ終わりだね♪」
わたし「いや、やっと半分だ!」
楽観的なオットと超現実悲観的気味の私との不毛な会話は、こんな感じで繰り返されたのでした。
他の部員は、多くの助っ人とともに、ワイワイととても楽しそう。(いや大変なのは、皆同じなのはわかってるんですけどね)
早々と作業が終わっていく中、こちらといえば、植えるべきスペースはまだまだ残っておりまして、そんなことはあるはずがないのに、それが永遠に続くように感じるほど、いろいろとやばしの状態になっていたのかもしれません。。。
そのうち雑談できる余裕もなくなり、声を出すのはヒモを張る際の「せーのっ!」という掛け声のみ・・・。
ここまできたら、余計なことを考える暇などなく、もう目の前の「苗」に一点集中するしかなくなります。
これぞまさに、「無」の境地といえるのでしょうか。
そしてついに、ランナーズハイにも似た状態になったのです。
後で聞いた話ですが、このことを、Sさんの農園用語では、「田植えハイ」というそうです。
田植えハイ
田植えに集中すると田と苗と自分が三位一体し、不思議な高揚感に包まれることがあります。
その境地、特別です。
Sさんの田んぼ妖精ずかんより
そしてそんな時、「神風」ともいえる気持ちのいいさわやかな風が、背中からスーッと吹いてきました。
Sさんによると、このあたりの土地では「シタケ」と呼ばれる南東の風なんだそうです。
Sさんのお祖父様によると田植えの時に吹く風で、昔はそれを考慮して苗を植える向きを決めたのだと。
この風のおかげで、最後までやり切ることができたと、心より感謝しています。
そして、炎天下でキツいと文句をいいましたが、Sさんによると、太陽というのは、「これがなければ命がめぐらない、まさに命の創造主」なのです。なので、ありがたく全身で受け止めたいところですね。
そしてもう一つのSさん語録は、「暑さで汗をかくのは、ホモサピエンスとして自然で健康的なことであり、暑くてラッキー!暑くて上等!」とのこと。(熱中症には注意ですけどね)
はい、終わってみれば、まさにそのとおりなのです。
それを、体感することができた今回の田植え、超ラッキーでした!
田植え終了!
そんなこんなで、永遠に終わらないと思えた田植えですが、どうにかこうにか終了いたしました。
まっすぐには植えられず、ところどころ曲がりくねった、まるで人生模様を思わせる風景があったり。
「なぜお主、こんなところにいる?はみ出しチャンピオンか?」(←わかる人にだけわかればいい)といわんばかりのとんがった場所に植っている苗もいます。
いやはや、ど素人丸出しの田植えですね、これは。
プロから見れば(プロが見なくても)「これは田植えにあらず」とお叱りを受けそうな散々な田植えとなっているのでしょうが、1年生なんで広くて深いお心と、生あたたかい目で見てやってくださいまし。
今回の目標「最後まであきらめずにやり遂げること」、それができただけでも、まあヨシとしましょう!(だいたい私は、自分に甘いのですよ)
田植えで注意すること
無事田植えが終わったということで、ここで、注意点をお伝えします。
「1回ちょちょっとやったぐらいで、注意点だなんて何を偉そうに!」と鼻で笑われそうですが、体験した人とそうでない人には雲泥の差があるという持論のもと、偉そうにお伝えしていきますよ(笑)。
今回一番気になったのは、素足、素手で作業するか否かということです。
ここで、素足・素手のメリットとデメリットをまとめてみました。
では、我々はどうしたかといいますと、田植えでは素足と素手で挑みました。
素足で田んぼに入るのは、ある種憧れでもあり、また素手の方が細かい作業ができるからです。(畑作業で実感)
田んぼに入ると、地面に近くなるほど冷たくなって気持ちいいですし、動きやすさも感じました。
何よりも、土との一体感は、なんていいますか・・・言葉にできないほどの高揚感にあふれます。
素手での作業のやりやすさは、いうまでもなくです。
が、田んぼの中は虫たちの宝庫ゆえに、かゆみに襲われることも多々あるのは事実。
それがデメリットなのですが、今回私はそれほどではなかったものの、田んぼ部のメンバーでは被害に遭っている人もいます。
私の場合は、当然のことながら、爪の中に土が入り込みこれがなかなか取れないこと、そして匂いがきつかったことが、とても気になりました。
ここからは、閲覧注意!汚い画像↓で失礼しますよ。
水を張ったばかりの田植えの時期はまだよしとしても、一週間後の「草取り」の時には、長靴で対策をした方が無難であると、Sさんからもアドバイスをいただきました。
ということで、こんなタイプの長靴を入手しましたよ。
普通の長靴だと、泥に足を取られますので、こういった足に密着した特別なタイプのものがおすすめとのことです。
実際、この後の田んぼ作業では、この長靴の能力はいかんなく発揮されたのです。その様子は、次回の田んぼの記事でお伝えしていきますね。
で、素足・素手問題について、Sさんや田んぼ部のメンバーからのアドバイスをもとに、私が出した結論は、こんな感じです。
- まだ虫の少ない田植えの時期は、体質にもよるが素足・素手でもギリギリセーフ
- その後は、虫が増えてリスキーなため、長靴やゴム手袋などで対処した方がベター
それも含めて、田植えの時にもっとこうすればよかったということを挙げていきます。
- かゆみや泥が気になるようであれば、田んぼ専用の長靴を履いた方が無難であること
- 助っ人が多い方が、楽しいし楽であること
- 日焼け対策は念入りにすること(肌の露出部分がないように)
ちなみに私は、日焼け対策を甘くみておりまして、半袖のTシャツにズボンの裾を膝までまくり上げておりましたら、腕とふくらはぎが焼けまくりでした。
ヒリヒリするだけでなく、見た目もひどいありさまで、小学生の頃の夏休みを思い起こさせました(笑)。
ちなみに、素材にもよりますが、土が服につくとなかなか取れませんので、汚れてもいい服、なんなら捨ててもいい服を着ることをおすすめします。
美白や美容とは縁遠い・・・それが農業なのかもしれませんね。
それでも、このやり切った感と爽快感は、なにものにも代え難い、もはやそんな感じになっているのです。
さいごに今後の予定を
自身にとって人生初の田植え体験を、つらつらと語ってまいりました。
今後の予定は、「草取り」という作業を、だいたい一週間ごとに、最低3回は行うことになります。
無農薬の田んぼゆえに、放っておくと稲が草に負けてしまい、収穫量ががくんと落ちてしまうからとのこと。
- 豊作を目指すには、とにかく草を少なく
- その草は、初期であればあるほど取りやすい
Sさんのアドバイスをもとに、今後も田んぼ作業に勤しんでまいります。
ということで、今日はこれくらいで。
ありがとうございました。