こんにちは。元公務員のもりこねです。
巷では、女性が働きやすい職業として「公務員」が挙げられています。
そういわれる理由としては、民間企業などで働く女性と比較して、労働条件や福祉厚生面で平均点以上だからということでしょう。
たしかに、そのとおりです。
ただ、そういった労働条件や福利厚生面をどこまで重視するのかは、当然ながら人それぞれあり、公務員が働きやすいかどうかも、人それぞれの感じ方、価値観の違いがあると思っています。
この記事は、公務員女性が働きやすいといわれる正論をお伝えします。
それとともに、元公務員女の曲論を交えた、ちょっと過激(?)かもしれない本音トークを展開していきます。
【正論】公務員の女性が働きやすいといわれる理由
まずは、女性が働きやすいといわれる理由について、かなりざっくりですがまとめてみます。
ちなみに、ここに挙げるのは、私が在籍していたノンキャリの国家公務員(事務職)を例にしていますので、ご容赦ください。
女性が長く働き続けられる職業の一つ
いきなりキャリア官僚にご登場いただきますが、元厚生労働事務次官の村木厚子さんが、ある時TV番組でこんなことをおっしゃってました。
公務員を選んだ理由は、女性が長く働き続けられる職業だから(注:一言一句正確ではありません)
実は私も、ノンキャリといえども国家公務員を選んだ理由の一つに、コレ↑がありました。(結局辞めてますけどね・・・)
おそらく、地方公務員も同様だと思います。
公務員は、女性が結婚しても出産しても育児をしながらでも働こうと思えばそれが実現する職業であることは、間違いのない事実です。
出産・育児に関わる休みが取りやすい
女性が長く仕事を続けられるのは、まさに出産や育児に関する休暇が取得しやすいからといっても過言ではありません。
出産・育児に関する休暇制度については、国家公務員の方にとっては釈迦に説法でしょうが、一応下記のとおり挙げていきます。
- 出産休暇→産前6週間(多胎妊娠は14週間)、産後8週間
- 育児休業→3歳未満の子の養育のための休業
- 育児短時間勤務→小学校就学前までの子を養育するため通常より短い勤務時間での勤務
- 育児時間→小学校就学前までの子を養育するため1日2時間まで勤務しない
- 保育時間→1歳未満の子の授乳等を行う場合に30分勤務しない
※出産休暇以外は男性職員も取得可能!男性職員には配偶者出産休暇あり!
上記の休暇は代表的なもので、これらは女性が取得しやすい環境にあるのはたしかです。(ただし、部署によります)
ほかにも妊娠中の通勤緩和があったり、育児では子の看護休暇(男性職員も取得可能!)があるなど、出産、育児に関してはいたれりつくせりといえるでしょう。
(ちなみに、男女関係ありませんが、介護休暇も充実しています)
男女平等
公務の職場は、男女平等を謳っています。
「男女雇用機会均等法」が制定されて以降、公務員がそれを率先しなければどこがやる!とばかりに、男女平等に拍車がかかったように感じています。(私の勝手な憶測ですが)
でもなぜか、入省して何年かは、女性職員のみ「お茶汲み」をしていましたけどね(笑)。
・・・おっと!話を本題に戻します。
その職制にふさわしい方であれば、男女問わず出世できる、それが公務員です
そして、後にも触れますが、給与体系も基本的に男女差は存在しないのです。
年収の高さ
40代前半で国家公務員(一般事務職)を退職した際の年収は、調べていただければすぐにわかることですが、同年代の女性の平均年収よりも上回っています。
私のような、特に才能もスキルもない凡人の40代女性(当時)が、普通に公務員をしているだけで平均年収を超えてしまっていました。
本当にありがたいと感じるとともに、世の中いったいどうなってるんだよ!という思いも実はあったのです(笑)。
【曲論】公務員の女性が働きやすいの本音の部分
ここまで、公務員女が働きやすい理由の正論をざっくり挙げてきました。
「はい、そのとおりですね」で終わらせておけばコトは丸く収まるのですが、あまのじゃくにもほどがあるのは承知のうえで、曲論や本音の部分をぶっちゃけてみます。
「多数派」とか「みんなが」「平均点が」をいまだに大事にしている世の中なので、受け入れられなければ、そっと離れてくださいねー。
産休・育休・育児時間は制度上はたしかに取りやすいけれど・・・
前述したとおり、子どもの件での休業・休暇は取得しやすいのはたしかです。
ただ、「制度ですから!」と当たり前のように空気を読まずに休めるとか、気を遣わずに取得できるかというと、それはその人の性格的なものだとか、所属する部署にもよります。
これについて、元公務員女性の方が書かれたブログの一文を引用させていただきます。
公務員退職~公務員は女性向き?
公務員は、産休・育休等はしっかりとれるので、女性にとっていい職だと思われています。
確かに、制度はしっかりしていて、とてもありがたいと思います。
制度上は・・・
職場によりけりだと思いますが、私の職場は制度を利用するうえで、メンタルの強さが要求されていた気がします。
引用元:2021年1月28日 tattan-321さんのブログより一部引用
さらに、続きがあります。
妊娠出産に理解がありそうな、女性上司ほど、
「私の時は、そんな制度はなかったよ」とか
「自分は子どもの病気で休むことはなかった」とか
チクチクと嫌味を言われるので、いつも「すいません」と気を使いながらの毎日でした。
引用元:2021年1月28日 tattan-321さんのブログより一部引用
実は私は、出産・育児の経験がありません。
でもなぜかこの方のこのブログの内容は、心に刺さるのです。
現役時代、身近にいる公務員ママたちをみて、「大変そうだな」「よくやってるな」と思っていました。
家庭環境の違いはあるのでしょうが、なかには仕事と育児の両立が大変で、半ベソをかきながら毎日を過ごしている女性職員も。
仕事が終ったら、子どもを迎えにいくために毎日猛ダッシュしている人もいました。
子どものことであれば
- 育休もホイホイ取れて
- 育休明けは楽な部署への異動という配慮もされて
- 育児時間等で早く帰れて
- 急な休みも許されて
- ほんと、女性公務員は恵まれているし、働きやすさは右に出るものはないよね
・・・そんな声をよく耳にします。
そして、それに対して、出産・育児を経験した女性職員からも、「公務員でよかった」という声を多く聞きます。
たしかに、それは否めないと私も思います。
でも、実際本当のところはそうでもない場合もあって、子どものことで辞めていく女性職員もみてきました。(他の事情も含まれているかもしれませんが)
そして、子どものことで休む時は、実はとても気を遣っている女性職員は少なくなかったというのが私の印象です。
周りの職員から何を言われようとどう思われようと、「数年の辛抱だわ!」と表向きは笑顔で耐えている女性職員をたくさん見てきました。
そして・・・
「こんなに恵まれた職場なのに、愚痴や文句を言っちゃいけない」
「民間だったら、もっと大変だし、仕事を続けられないかもしれない」
そういう無理くりの不自然なポジティブ思考で、余計に苦しくなっていた女性職員も、実はけっこういたのです。
経験のない私がいうのはどうかとは思いますが、子どもを産んで育てるということは、それはそれは命を賭けた大仕事です。
それなのに、女性公務員というだけで、
「どこよりも制度が整っているし休みを取りやすい雰囲気!」
「とても恵まれていて楽勝!」
などとひとくくりに考えるのは、ちょっとどうかなと思っているのです。
出世したい?
公務の職場は男女平等なので、職制にふさわしければ、男女問わず出世ができることは、前述したとおりです。
事実、過去にお仕えしたバリバリに仕事のできる女性上司は、出世のスピードは同期の男性とほぼ同等でした。
お子さん2人を育てながらでしたので、本当にパワフルな方です。
でも、これは私の偏った見方かもしれませんが、女性が順調に出世をすると、どうしても嫉妬の対象となってしまうように見受けられます。
身も心もたくましくないと、女性で管理職などはやっていられないかもしれません。
だから、出世している女性職員は、素直に「すごいな」と思います。
ただ、私の場合は、「この仕事で自分の魂を売ってまで(!?)出世したいか?」という疑問に行きついていました。(出世した人が魂を売っているといっているわけでは決してありません)
出世に対して、そこまで価値を見出せなかったのです。
向上心や責任感がないといわれるのを覚悟のうえでいいますが、給与はそのままでもいい(逆に下がってもいい)ので、ある程度のところで、もうこれ以上は出世はしたくないと思っていました。
管理職を経験して50代前半で早期退職した女性職員は、「私は管理職は向かない、実務をやっている方がずっと面白かった」といっていました。
また、以前私がご一緒した方で、出世したくないからと、あえて「現状維持」の道を選んだ勇気ある女性職員もいました。
さまざまなご事情があったのだと思いますが、その方は出世を拒んだことで、逆に他の職員から嫌味を言われるほどでした。(出世しなくても給与が上がるのがズルい!というお考えなのでしょう。だったら自分も出世を拒めばいいのに・・・)
出世しても出世を拒んでも、結局はなんやかんや言う人はいるわけです。(めんどくさっ笑)
公務員女性だからといって、「男性と同様に出世できるのがいい!」「出世をすることでやりがいや幸せを感じるわっ!」という人ばかりではないということです。
年収の高さはありがたいけど・・・
年収の高い低いに価値を置く人がいれば、そうでない人もいます。
様々な環境や背景があるので一概には言えませんが、年収はほどほどでいいので、自分のやりたいことをしたり、自分の時間を大切にしたいという考えの人が、どんどん増えてきている感がしています。
私も、そこそこ生活していける収入があれば、年収の金額にはそれほどこだわりはありません。
何を呑気なことを言って・・・とお叱りを受けそうですが、「年収が平均以上がなんだというのですか?」という考えになっています。
これはあくまで私の場合ですが、いくら年収が高くてもストレスフルな毎日を送るよりは、今の穏やかな生活の方が何百倍も幸せです。
年収の高さについても、その価値観は人それぞれなのではないでしょうか。
といいますか、公務員よりももっと稼いでるキラキラ女子はけっこういるんですけどねー。
おわりに
公務員女性が働きやすいということは、現役時代に私も感じていたことです。
それなのに、こんなあまのじゃくな内容を記事にしてしまった理由のひとつに、
「女性にとってこんなに働きやすいといわれる公務員を辞めた私って、どこかおかしいのかな?」
そんな思いからです。
そして、公務員を辞めた女性の中に同じような思いの方がもしいるとしたら、「ここにもいますよ(私のこと)」ということをお伝えしたかったからかもしれません。
あ、でも、いないならいないで、それでいいのです・・・(苦笑)。
最後に、かなり個人的な意見を言わせていただきます。
育児をしながら働く女性職員のことです。(男性職員も育児の制度は整っているのですけどね・・・)
若手職員がその分の仕事をカバーをしているという声を見聞きしまして、そういう部分があるのはたしかにそうだとは思いました。
ただ、私が見てきた女性職員の多くは、育児時間等を取るために限られた時間の中で、フルで勤務する職員と同等に密度の高い仕事をこなしていたのです。
中にはそれ以上の成果を出して、評価されていた人もいました。
育児は、自分の思い通りにならないことばかりだそうです。
でもそれは、仕事で「予想外の出来事」に遭遇した際に大いに活かされると、育児経験者の女性職員は言っていました。
限られた時間内でいかに仕事をこなしていくのかを常に試される中で、育児により問題解決能力や判断力、指導力、忍耐力などが、否応なしに身についたのではないでしょうか。
もちろん、育児経験がなくとも、同様の能力をお持ちの方も多くいることは承知のうえで、少し語ってみたまでです。
とりとめなくまとまりのない話でしたが、ありがとうございました。