公務員を辞めて、まもなく12年が経とうとしております。
ただ、そんな大昔の話であるにも関わらず、今でも人から聞かれます、公務員を辞めた理由を。
過去の私は、「なんで辞めたの?」と聞かれることは正直苦手だったし、それにこたえることはもっと面倒くさくて嫌でした。
それは、実際に否定的な言葉を投げかけられた経験があるからです。
しかし、ここ数年の私は、社会的な風潮&自分の考え方・捉え方の変化があってか、公務員を辞めたことを否定されない世界線にいるように感じています。
ということで今回は、タイトルはネガティブながらも、最後には、当ブログの公務員ネタとしてはちょっと珍しいポジティブ(かもしれない)話題で締めていきたいと思っています。
おこがましいことをいうようですが、40代以降の悩める公務員の方に、ほんの少しでも気持ちが軽くなっていただきたい・・・そんな思いで綴っていきますよ。
「なんで公務員を辞めたの?」と聞かれるのが嫌だった
公務員を辞めると往々にして経験することの一つに、「なんで公務員を辞めたの?」という直球ど真ん中質問を、幾度か受けることではないでしょうか。(私だけかしら?)
「公務員を辞めた」とか「元公務員」ということがわかるや否や、「えーっ?!なんで辞めたの?!!」という判を押したようなテンプレワードが相手の口から飛び出してくるのは、私にとってはわりと当たり前のことでした。
実は私、数年前までは、プライベートの場でそれほど親しくもない間柄の人から、公務員を辞めた理由を聞かれることが、正直申し上げて苦手だったのです。
というか、はっきりいって嫌でした(苦笑)。
相手にとっては初めての質問であったとしても、私にとっては「またそれかい?」と思ってしまうのです。
そしてそれが続くと、そのうち「それしか聞くことないんかい?」「グッとくるような気の利いた面白い質問ができんのかい?」と辟易してしまうのです。
パーソナルスペースが異常なほど広く、境界線をしっかり引きたいタイプの私にとっては、「距離感ないんかい?」と心中でツッコミ入れまくりでした(笑)。
ただ、私とコミュニケーションを取ろうと努めた結果であれば、話は別です。そういう人はなんとなくわかるものなので、嫌な気持ちになることはまずないですから。
もう一つの理由としては、「公務員を辞めるなんてもったいないとか甘いとか堪え性がないとか、どうせそんなふうに思ってるんでしょ?」という被害妄想的なものが根底にあるというのもあります。
「公務員を辞める行為=悪いこと」という罪悪感さえ抱かせるのです。大袈裟かもしれませんがね。
ちなみに、この被害妄想癖や自己肯定感の低さは、
無駄に長い公務員生活で培われた「負の遺産」です(笑)。
なんにしても、「公務員を辞める」ということは、当時の私にとっては一世一代ともいえる大きな決断でしたし、必ずしもポジティブオンリーで辞めたわけではありません。
なので、関係性の薄い人からの面白半分な質問に対しては、そう易々とこたえたくないという気持ちが、ついつい湧いてしまい、万年反抗期ぶりを発揮していたわけです(笑)。
まあ、今から思えば、悪気はなかったと思いたいですし、自分だって無神経に他人の気持ちをざわつかせている(ひどい時には傷つけている)ことは充分にアリアリですから、「人のフリ見て我がフリ直せ」「他人は自分の鏡」ということを、常に肝に銘じておきたいと思っております。
実は退職理由をこたえることの方が心底面倒だった
「何で辞めたの?」と聞かれることが嫌だったと前述しましたが、正確にいうと、その問いにこたえることの方が、もっと面倒で嫌でした。
その理由として、「言語化が苦手」というのがあります。
いきなり「なんで公務員を辞めたの?」なんて質問、
まるで、再就職の面接を受けているようですよ(苦笑)。
耐え難きを耐え忍び難きを忍び(?)、苦悩と熟慮を何十にも何百にも重ねて、意を決して選んだ退職への道ですので、そんな簡単に、一言でズバッと表現できるものではありません。
それに、何も準備していない状況下でのとっさの言語化は、アドリブが苦手な私にとっては困難極まりないのです。
そのうえ私の場合は、それがたとえプライベートの場面であっても、条件反射のように、できるだけ前向きな表現で退職理由を話そうとしてしまうのです。
特に辞めたばかりの頃は、ええカッコしいのところがあったことは否めませんし、これでも一応は、ネガティブな話題を持ち出すことで、その場を暗い雰囲気にしてしまいたくないという気持ちも、人並みにありましたので。
しかし、そうなると、セルフイメージがダダ下がりの現実が創造されるわけなのです。
相手に話をしながらも、「辞めた理由が言い訳みたいだな」「不自然な前向きワードが薄っぺらいな」なんてことを、自分の中に感じてしまうのです。
「辞めた理由」ですからねぇ・・・嘘をつかずにポジティブに表現するなんて、限界があるでしょう。
真面目に正直にこたえすぎていたのも、面倒に感じる原因だったと分析しています。
ひどく疲れるんですよ、これが。
その返答如何によっては、相手からどう思われるのか、
どんな(辛辣な)言葉が返ってくるのか、そんな怖れもありましたね。
職業を聞かれたから、仕方なく「公務員」と返答しただけなのに、なぜか嫌味を言われたこともありまして、そんな記憶が蘇ってくるからかもしれません(苦笑)。
だいたい、なんとなくな軽いノリで聞いてきた人ほど、そもそも私にそれほど興味があるわけではないので、反応も超テキトーです。
そんな時は、「じゃあ、なんで聞くの?」「なんて失礼な人なんだろう」と、密かにモヤモヤしていました。
それだけならまだいいのですが、私の退職理由に対して、ちょっとネガティブチックな言葉が返ってくる時もありまして、そんな時には「公務員を辞める私は、やはりおかしいのかな」と自分の軸がブレブレになったり、「真面目にこたえなきゃよかったな」とひどく後悔するのです。
別に、その人に人生の悩みを相談したりアドバイスを求めていたわけでは、これっぽっちもなかったんですけどねぇ(苦笑)。
適当にこたえていい人と、真面目に対応する人を見極めることを、この時に学びました(笑)。
でもまあ、再就職の面接のように「なぜ辞めたの?」と聞かれることによって、自分のキャリアの振り返りが半強制的にできるという、そんな絶好の機会と捉えれば、悪くはない経験です。
「40代の公務員退職」にプラスの反応が増えてきた昨今
「なんで辞めたの?」問題について、そんなふうに内心では辛辣なことを思っていた性根悪い私ですが、冒頭でも申し上げたように、ここ数年は、その気持ちに変化がおとずれています。
それは、退職理由に対して、否定されることが皆無になってきたからです。
それどころか、このような「プラスの言葉」をいただくことが増えてきました。
若い年代ならともかく、その歳(40代)で長年勤務した公務員を辞めるなんて、相当の決断!すばらしい!!
20年も働いてきて、もう十分頑張ったでしょ。
それに、変化の激しいこの時代に、公務員だからって安泰とは限らない。
自分の人生なんだから、辞めて正解!
いや〜、単純な私は、それがたとえお世辞であったとしても、素直に喜んだのです。
そして、驚くことに、この言葉を投げかけてくれた方々は、50代以上のミドルシニア世代。
年齢で決めつけるのは不適切なのでしょうが、50代以上の方々の公務員に対するイメージって、なんとなくわかりますよね。
「一生安泰なんだから、辞めるなんてもったいない!」
「こんな楽でゆるい仕事なのに、辞めるなんて甘い!」
そんな感じのいかにもなテンプレワードのシャワーを浴びる・・・そんなイメージです。(これも私だけ?)
生まれ育った時代が時代ゆえに、そういった考え方になるのはわかるのです。私もその中でどっぷり浸かってましたので。
というわけで、謎に覚悟をしつつ、どんな反応が来るのかと身構えていた分、これらのあたたかい励ましの言葉には拍子抜けしました。
とともに、本当に魅力のある人というのは、年齢に関係なくこういう人を言うんだろうなと思ったわけです。
- 既成概念にとらわれず、時代の流れを読みながら柔軟な考え方や捉え方ができる
- たとえ自分とは違う生き方や考え方であっても、否定をせずに尊重できる
私に興味を持って聴いてくれたこと、そして、自分の選択した生き方が否定をされなかったことに、正直ほっとし、心から嬉しくも思いました。
このあたりからでしょうか。「なんで辞めたの?」と聞かれることへも、それにこたえなければならないことへも、それほど嫌悪感を抱くことはなくなったのは。
むしろ、「そんなに私の生き様を知りたいのなら、いくらでも教えてあげるわよ!」と相手がドン引きするほど、ぐいぐい迫ってやりたいとまで思っています。(ずいぶん極端ですな〜)
「公務員を辞めること」は珍しいことではなくなったのか?
ということで、ここ数年の私は、公務員を辞めることを否定されない世界線にいるように感じています。
それはなぜかを考えてみた時に、社会の風潮・社会的要因とともに、自分自身の考え方や捉え方が変わってきたというのもあるのかなと感じています。
はい、科学的根拠のない私個人の肌感覚ですが、社会的要因については、同じように感じている方も少なからずいるのではないでしょうか。
公務員を中途退職する人は、数値的にみると今でも少数派であることは承知しています。
ただ、私が退職した12年前と比べると、「公務員を辞めること=変わり者、おかしい人、珍しい人」いうイメージは、かなり薄れてきているように感じています。
事実、前述した50代以上のマダムたちも、上記の挙げた最近の社会的風潮を敏感に察知していましたので。
そして、私自身が上記のように変化をしたことで、公務員への否定的ワードを聞くことがほぼなくなりました。
まあ、公務員から足を洗って12年も経てばそんな変化がおとずれることは、ある意味当然なのかもしれませんけどね。
ただ、以前の私は、公務員だったことや公務員を中途退職したことに「負い目」を感じていました。なので、そんなエネルギー的なものが他人には伝わっていて、それが現実に「否定」としてあらわれたんじゃないかと、そんなふうに推測しているのです。
繰り返しますが、今は、公務員として長年勤務してきたこと、そして、公務員を辞めたことを後悔していません。たとえその選択が、一見失敗のように思えたとしてもです。
そんな私の考え方や捉え方に変化を及ぼした大きな鍵は、このブログ運営じゃなかろうかと、そんなふうに思っています。
- 自分が選択したことは、どんな結果であっても自分で引き受けられるようになってきたこと
- 他人の目を気にすることや他人への救済意識が激減し、自分の人生に集中できるようになってきたこと
- 正直にしか生きられなくなってきたこと
自分を曝け出すことが超苦手だった私が、こういった「発信活動」に挑戦したことによって、自分の中に上記のような変化が起きてきたのかなと自負しているのです。
なので、これはブログに限ったことではなく、どんなツールでもいいと思うのです、発信できれば。
今となっては、このブログに多くのネタを提供してくれた公務員経験そのものに、心から感謝したい気分です(笑)。
おわりに
今回、一番に伝えたかったのは、先にも紹介したこの言葉です。
・その歳(40代)で長年勤務した公務員を辞めるなんて、相当の決断!すばらしい!!
・20年も働いてきて、もう十分頑張ったでしょ
公務員を辞めるにしても続けるにしても、長年公務員として頑張ってきた40代、50代の方々へのエールだと、私は感じました。
今の時代は、公務員のことを上記のように捉えている人が少なくないのです。
そう、時代はものすごいスピードで確実に変化している。
それがわかるだけでも、何だか心が軽くなりませんか。
はい、相変わらずオチのないグダグダ話でしたが、このあたりでお暇します。
ありがとうございました!