先日、バイクで田舎道をツーリングをしたのですが、バイクに乗るとなんであんなにスッキリ爽やかな気分になるのでしょうか。
まるで憑き物が取れたかのように、身も心も数百グラム軽くなったように感じます。
ということで今回は、「なぜバイクに乗るとストレスを解消できるのか」について、自身の体験をベースに考察してみました。
バイク歴は30年以上。
心身ともに健康なのは、バイクのお陰と信じて疑わない50代女。
キャリアカウンセラーとして、心理面やメンタルヘルスに注力しています。
そして、その結果はこんな感じです。
- 今ここに意識を集中できる
- 自律神経が整う
- 幸せホルモン(セロトニン・オキシトシン・ドーパミン)的作用
これらを、一つ一つ解説していきます。
「なぜバイクでストレス解消できるんだろう?」と疑問に思った方や、「ストレス解消方法を知りたい」とお悩みの方に、参考材料の一つとしていただければ幸いです。
今ここに意識を集中できる
理由の一つ目は、「今ここ」に意識を集中できることです。
二輪車での走行は、生身の体がむき出しであり、転倒のリスクも高いため、「心ここに在らず」の心理状態では、大袈裟でなく命がいくつあっても足りません。
バイクを操縦する際は、必然的に「今ここ」に意識を集中せざるを得ないのです。
ではなぜ、それがストレスの解消につながるのでしょうか。
人の脳というのは、放っておくと自動操縦のように雑念が沸いてくるもので、気がつくと、今さらどうすることもできない過去や、まだ起こってもいない未来のことで頭がいっぱいになりがちです。
それが、脳や心身を疲弊させ、ストレス街道まっしぐらになることは、私もこれまで嫌というほど経験してきました。
ゆえに、そんなストレスを低減させる一つの方法として、ここ数年ブームとなっているのが、意識して今この瞬間に集中できる状態をつくっていく「マインドフルネス」です。
提唱する団体によっては、心身不調の改善効果が科学的に実証されているところもあるほどで、私もメンタルヘルスの一環として、日常生活でできる限り取り入れるようにしています。
しかしながら、これが簡単そうで意外に難しく、少し油断すると、すぐに「今」を忘れて、ネガティブな過去の出来事や未来への不安に駆られてしまうというのが現実。
そこで力を発揮するのが、バイクツーリングだと私は考えたのです。
そう、バイク操縦は、両手両足を動かす以外に、五感も研ぎ澄ませるので、けっこう忙しい。
- 全方位に危険がないかを確認するのはもちろん
- 路面状況にも注意を払いながらのラインどり
- マシンが奏でるエンジン音を聴きながら
- 絶景に感動したりして
- 全身で風を受けながら
- その土地のにおいを感じる
これでは、過去や未来など入る余地がありません。
そういえば、バイクに乗っている時は、過去や未来のことって考えてないなぁ〜。
だからかな。ツーリングをした日は、嫌なことや心配事などさっぱり忘れて、心底清々しい気持ちになれてるなぁ。
また、アルフレッド・アドラーの思想を凝縮した1冊「嫌われる勇気」にも、「いま、ここ」について触れられています。
「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てていたら、過去も未来も見えなくなるでしょう。
(中略)
「いま、ここ」にスポットライトを当てるということは、いまできることを真剣かつ丁寧にやっていくことです。
引用元:「嫌われる勇気」岸見一郎・古賀史健著 2016年3月25日第34刷発行
過去も未来も存在しない、人生は「今」という点の連続。
だからこそ、「いま、ここ」を真剣に、そして丁寧に生きていくことが、結果的に幸福な人生になるのだと説いているのです。
たしかに、「今」にスポットライトを当てていれば、ストレスのもととなりうる「過去(の後悔)」だとか「未来(への不安)」などは見えなくなります。
バイクに乗ってる時って、「今、まさにこの瞬間を生きている!」って感じがします。
ストレス解消の一つとして、「今ここ」の状態になるバイクツーリングはいかがでしょうか。
ただ、尋常じゃないほどに心身が疲労している場合は、それこそ危険ですから、バイクには乗りませんけどね。そこは一応、わきまえているつもりですよ。
緊張とリラックスの切り替えにより自律神経が整う
バイクツーリングは、緊張とリラックスの切り替えが強制的にできるため、自律神経が整えられるのではないか、というのが二つ目の理由です。
そう考えるに至ったきっかけは、精神科医・樺沢紫苑さんのストレス解消法が「サウナ」であることを、YouTube動画で知ったことでした。
その時即座に、「バイクツーリングとリンクしている!」と思ったのです。
え?サウナ?
バイクとどう関係があるんだ?
そんなふうに思われた方は、もう少しだけお付き合いいただければ、その理由がご理解いただけるでしょう。
まずは、樺沢さんがサウナをストレス解消に選んだ理由からお伝えしていきますが、めちゃくちゃざっくり要約させていただくと、こんな感じです。
・熱いサウナで交感神経が高まったところで、冷水風呂で一気に副交感神経に入る→交感神経と副交感神経が強制的に切り替えられる
・その切り替えをよくすることが、自律神経を整えることになる
・サウナは、強制的にリラックスできることから、疲れも取れ、睡眠もよくなる
引用元:YouTube動画・精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル「樺沢のストレス解消法ベスト3」より要約
詳しくは動画をご覧いただくとして、私が今回お伝えしたかったのは、サウナとバイクツーリングが重なる点です。
交感神経(緊張状態)が高まる時 | 副交感神経(リラックス)が高まる時 | |
---|---|---|
サウナの場合 | 熱いサウナに入る | 冷水風呂に浸かる |
バイクツーリングの場合 | バイク操縦中 | 休憩中/ツーリング後 |
はい、たったこれだけ。とてもシンプルです。
バイクに乗っている時は、まるで熱いサウナに入っているかのように交感神経が高まりますが、休憩を取ることで、一気にリラックスモード(副交感神経)に入ることができます。
「バイクに乗る」と「休憩を取る」を繰り返すことで、緊張とリラックスの切り替えができているといえるのではないでしょうか。
また、ツーリングから帰宅した暁には、無事走り終えたという安心感と達成感で、このうえないほどの副交感神経が満ち溢れることでしょうから、バイクに乗った日は間違いなくぐっすり眠れるのです。
その経験をふまえ、バイクツーリングというのは、サウナと同様、交感神経と副交感神経の切り替えにより自律神経が整えられ、それがストレス解消につながっているのではないかと、私はそんなふうに考えたのでした。
幸せホルモン「セロトニン・オキシトシン・ドーパミン」的作用
バイクに乗ると、脳内の神経伝達物質「セロトニン・オキシトシン・ドーパミン」的な作用が働き、それがストレス解消に一役買っているのではないかというのが、私の持論です。
以下の表は、この三大幸せホルモンの各々にどんな作用があって、どんな時に分泌されるのかの一例をざっくり挙げたものです。あわせて、それらがバイクツーリングとどう関係があるのかも盛り込んでみました。
セロトニン的幸福 | オキシトシン的幸福 | ドーパミン的幸福 | |
---|---|---|---|
心理的作用 | 精神の安定/脳の活性化 | 不安や心配の軽減/他者信頼/社交性の向上 | やる気/前向き |
分泌される時 | 日光浴/適度な運動 | 家族やパートナー、動物とのスキンシップ/人とのつながり | ワクワクする/新しい体験 |
バイクツーリングの場合 | 太陽の光を全身で浴びながらの走行/バイクはスポーツ! | バイク仲間との絆やコミュニケーション/旅先での人との会話 | バイクに乗るだけで楽しい!/ツーリングは毎回新たな発見 |
自身の経験でも、バイクに乗ると、日常の不安や心配が減少し、精神状態が安定するのを実感します。また、あれもしたい!これもしたい!というやる気に満ち溢れ、元気で前向きになれるのです。
セロトニン的、オキシトシン的、ドーパミン的な3つの幸福を一度に味わえるバイクツーリング、美味しすぎませんか!
とはいっても、バイク事故に遭遇すると、この幸せから一転、奈落の底に突き落とされてしまいます。
くれぐれも油断なきよう、常に安全走行で、バイクライフを楽しんでいきましょう!
まとめ
今回の内容をまとめます。
- 今ここに意識を集中できる
- 生身の体がむき出しであり転倒のリスクの高いバイク走行では、必然的に「今ここ」に意識を集中さざるを得なくなる
- そんなバイクツーリングでは、過去や未来を考える余地などなく、「今、まさにこの瞬間を生きている」と感じることになるが、その状態がストレス低減方法の一つであるマインドフルネスともいえる
- 緊張とリラックスの切り替えにより自律神経が整う
- 精神科医によると、サウナはストレス解消に効果的とのことだが、これは、熱いサウナ(緊張=交感神経)と冷水風呂(リラックス=副交感神経)の切り替えにより自律神経が整うためである
- サウナ同様、バイクツーリングも、走行中(緊張=交感神経)と休憩(リラックス=副交感神経)の切り替えにより、自律神経が整えられると考える
- 三大幸せホルモンとされるセロトニン・オキシトシン・ドーパミン的作用
- バイクツーリングでは、太陽の光を全身で浴びながらのバイク走行でセロトニン的幸福、バイクを通じた人とのつながりでオキシトシン的幸福、大好きなバイクに乗るだけでワクワクするドーパミン的幸福を味わえる
- ツーリングをすることで、日常の不安や心配が減少し、精神の安定・安心がもたらされるとともに、元気で前向きな気持ちになれることを体感
科学的根拠などほぼ持ち合わせていない、自身の体験に基づいた内容ではありましたが、この世界は体験してナンボです。
結局は、自分の感性や肌感覚が、自分にとっての最良のこたえなのだということを最後にお伝えしまして、ここでお暇します。
ありがとうございました。