こんにちは。もりこねです。
今から約10年ほど前、アラフォーの公務員であった私は、毎日の仕事が忙しく常にストレスフルでした。(暇そう楽そうにみえる公務員ですが、意外といろいろあったんです・・・)
そんな私のストレス解消法の一つが読書だったのですが、その中でも忘れられない厳選3冊↓を紹介していきます。
- 「阪急電車」有川浩著
- 「しあわせのパン」三島有紀子著
- 「すーちゃん」益田ミリ著
初版が10年以上前の書籍ばかりということで、ご存知の方も多くいらっしゃるとは思いますが、すべてさくっと読めるものばかりです。
- ストレスフルなアラフォー女性
- 読書をしたくてもその時間が限られる忙しい女性
女性に限定したのは、今回ご紹介する本がすべて女性作家であり、女性ならではの視点や感性で瑞々しく表現されていると感じたからです。
でも、男子禁制本ではありませんので(どんな本や?)、男性の方もぜひお楽しみくださいませ。
「阪急電車」有川浩著
1冊目は、有川浩さんが書かれた「阪急電車」です。
有川浩さんといえば、「図書館戦争」シリーズや「県庁おもてなし課」、「3匹のおっさん」など、映画化やドラマ化されている作品が多く、人気作家の一人としてお馴染みの方ですよね。
なので、この本の内容については、すでにご存知の方もいらっしゃるのでしょうが、一応ごくごくざっくりあらすじを挙げてみます。
阪急電車各線の中では知名度は低いものの、鉄道マニアや女性観光客から人気の高い今津線が舞台
そんな片道15分のローカル線で、ただ乗り合わせただけの登場人物たちの人生が、少しずつ交差していく様がドラマティック!
私がこの本と出逢ったのは、2010年頃でした。
あの頃の私は、仕事でなかなかにヘビィな案件をいくつか抱えており、仕事が終わった平日の夜はもちろんのこと、仕事のない休日であっても、片付かない仕事のことで常に頭がいっぱいになっていました。
「これではいけない!」と我に返った私が、立ち寄った本屋で直感的に「これはいい!」と手に取ったのがこの本です。
その直感どおり、この本は「その時の自分」には必要な本でした。
- 登場人物の女性たちに共感するポイントがてんこ盛り
- それぞれに悲喜こもごもありながらも、最後は非常に爽快でほっこり優しい気持ちになれる
- 冒頭から惹き込まれ、あっという間に物語の世界に没頭できる「現実逃避」にもってこい!
生きている以上、悩みや苦しみ、哀しみなどは避けては通れないことですが、そんなそれぞれの人生の「機微」がありありと描かれ、まるで自分のことのように身につまされます。
それでも、登場人物たちの小さくも勇気ある言動が、お花畑のハッピーエンドではないにしても、少しずつでもいいから前を向いて歩いていこうという気持ちにさせてくれるのです。
最後に、個人的に一番心に刺さった部分を引用させていただきます。
この小説の主要人物の一人である翔子は、会社の同僚から婚約者を寝取られたことがきっかけで、今津線沿線のとある駅に引っ越しをします。
その駅のホーム内で、小学校1、2年生ほどの女の子の集団と、同じ学校の同級生と思われる一人の少女とのやりとりを垣間見ることに。
集団の少女たちに仲間外れにされても、気持ちでは一歩も引かない凛とした態度の一人の少女。
そんな誇り高き少女に、翔子は思わず声をかけました。
「ちょっと声をかけてみたくなったの。さっきのあなたはとてもカッコよかったわ。」
××さん(少女のこと)は目を瞠(みは)り、そして耐えかねたように涙をこぼした。
(中略)
「あなたみたいな女の子は、きっとこれからいっぱい損をするわ。だけど、見ている人も絶対いるから。あなたのことをカッコいいと思う人もいっぱいいるから。私みたいに」
出典元:「阪急電車」有川浩著 幻冬舎文庫 平成22年8月5日初版発行 平成22年8月20日2刷発行 P214〜215より引用
この言葉で、少女は救われた気持ちになるのですが、実は一番救われたのは私だったのかもしれません。
「しあわせのパン」三島有紀子著
「しあわせのパン」の生みの親は、同名映画の監督もつとめられた三島有紀子さん。
なぜこれを読んだのか?を思い出してみたところ、4つありました。
- 大好きな「北海道」が舞台であること
- 大好きな「カフェ」の話であること
- 装丁写真が、大好きな「原田知世さん」と「大泉洋さん」だったこと
- 「プロローグ」の最後の言葉が胸にぎゅっときたこと
1から3は非常にミーハー的でわかりやすいと思いますが(笑)、4については「何のこっちゃ?」という感じでしょう。
でも、本屋でペラペラとページをめくった際に、プロローグの最後の言葉が飛び込んできたことから、この本を読もうと決めたといっても過言ではありません。(ここでは引用いたしませんので、あしからず)
ここで、ごく簡単なあらすじを。
- 北海道の月浦という町でパンカフェを営む「夫婦」のもとに、さまざまな思いを抱えた客が訪れる
- そんな彼らを、「夫婦」は心のこもったパンや珈琲、手料理で優しくもてなす
- パンを焼く水縞くんと珈琲を淹れるりえさんの「夫婦」にも、やがて変化が訪れる
とにかく、北海道好き、珈琲好きな私にとっては、この小説を読んでる最中はずっと幸せでした。
そして、水縞くんの優しさ、りえさんの繊細さに、胸がキュンとしたのです。(この歳でキュンなんてキモいって言われそうですが・・・)
おすすめポイント↓は、こんな感じです。
- 登場するパンや珈琲、手料理は、香りが漂ってきそうなほど温かく美味しそうに表現され、お腹が空いてしまう(笑)
- 水縞くんとりえさんの優しい心遣いに、読んでいるこちらまでが客になった気分でほっこりあたたかい気持ちになる
- さらに、心癒されるとともに、爽やかな風が流れ爽快な気分になる
ここでも、心揺さぶられた部分を引用させていただきます。
神戸から真冬の月浦に辿り着いた、ある訳ありの老夫婦。
余命いくばくもない妻とともに、命を絶つ覚悟でこの町のこのカフェに来た夫は、雪の夜道を妻を連れて歩いていくところを、水縞くんとりえさんに発見されます。
老夫婦は無事カフェに戻るのですが、焼き立てのパンの香りを嗅いだ妻が、これまで嫌いで食べられなかったパンを、おいしいおいしいと食べていることに夫は驚きます。
さらに、次の妻の言動に、夫は衝撃を受けます。
そしたら、それまで天使のような顔をしていたアヤの顔がふっと厳粛な表情になってこう言うたんです。
「私、明日もこのパン食べたいなぁ」
胸が締め付けられました。アヤは私のことを想うて一緒に死のうとしてくれとったんです。でも本能が、アヤの本能がそれとずっと戦っとたんです。つまり、生きたいと叫んでいたのです。
出典元:「しあわせのパン」三島有紀子著 ポプラ文庫 2011年12月5日初版発行 2012年1月27日7刷発行 P137より引用
「明日も食べたい」
この言葉で、ここまで胸を熱くさせられたことはありません。
そして、「生きることは食べること」という非常にシンプルなことを、あらためて思い知らされたのです。
心のこもった料理を、優しい仲間や家族と食べる・・・それだけで十分幸せに生きていけるんですよね。
「すーちゃん」益田ミリ著
最後は、益田ミリさんの「すーちゃん」の紹介です。
こちらは、小説ではなく、みんな大好き(たぶん)「4コマ漫画」です。
これを読んだきっかけは、何かの雑誌に「すーちゃん」を絶賛するコラム的?なものがあったので、最初はお試し感覚でした。
でも、すーちゃんの世界にすっかりハマって、その後の続編的なものもの買ってしまったほどです。
コレ↓でしたね。
ここでも、ざっくりあらすじです。
- 主人公は、カフェで働く30代独身一人暮らしの女性「すーちゃん」
- 今の自分を変えたいといろいろと試してみたり、職場で憧れの人にときめいたりの日々
- 同じく独身女性の「まいちゃん」とはご近所で仲良しで、まいちゃんの日常も同時に描かれている
これを読んだ当時は私も30代(後半)で、仕事や自分自身のことで悩み多き日々でしたので、もう夢中になって読んでいましたね。
さらに、ワーキングママで頑張っている地元の女友達にも、頼まれてもいないのに勝手に送りつけちゃったほどです(苦笑)。
さて、ここでおすすめポイントです。
- 漫画なので、時間がなくてもあっという間にスラスラ読める!
- すーちゃん、まいちゃんのセリフに共感しまくりで気分爽快
- 「今の自分でもいいんだな」と自分を肯定できるような元気をもらえる
あまりにも共感部分が多すぎて、どこを引用しようか今めちゃくちゃ悩んでるのですが、意を決して一部分のみ挙げていきます。
ラストのすーちゃんの言葉です。
ずっと変わりたいと思って生きてきたけれど
いろんなあたしを増やせばいいかな〜
って思うようになって
なんていうか少し
「楽だ」
(中略)
違う誰かのようになりたいと思わないのは
いい気分だ
(中略)
あたしでいい
「あたしでいいっていうか」
あたしも悪くない感じ
出典元:「すーちゃん」益田ミリ著 幻冬舎文庫 平成21年8月10日初版発行 P 127〜128より引用
自分を変えるんじゃなくて、「新しいあたし」を増やすと言う発想、座布団1枚です!!
おわりに
アラフォー時代に読んで救われた3冊を、独断と偏見で選んでみました。
これを機に久々にこの3冊を読み返してみて気づいたことは、けっこう細かい内容を忘れていたということです。
でも、「そうそう、こんなセリフあったなぁ〜」と懐かしさを感じながらも、新鮮な気持ちで読むことができ、一粒で二度美味しいという思いもかけない副産物を得た感じがしました。
たった1冊の本で、人生観が変わることがあります。
だから私は、読書がやめられないのです。
情報提供の一端を担えればという思いもありますが、自分の考え方や価値観に気づくきっかけにもなるので、これからも読書感想文をこのブログで記事として挙げていくつもりです。
ありがとうございました。