こんにちは。元公務員のもりこねです。
公務員って利潤を追求しないから、「やりがい」がないんじゃない?
これは、公務員になったばかりの頃に学生時代の同級生から言われたひとことで、この言葉に当時の私はたいそう驚きました。
なぜ驚いたのかと言いますと・・・
利潤を追求しない「全体の奉仕者」であるから、それがやりがいになるんじゃないのかな?
当時の私はそんなふうに思っていて、それが公務員の魅力だと感じていたからです。
どちらが正しい、間違いと言いたいわけではなく、人によって視点や考え方、感じ方が違うというのがおもしろいなと思い、今でも忘れない出来事なのです。
そんなわけで、私が20年以上国家行政事務のノンキャリ公務員をやってみて、独自の目線での「やりがい3選」をお伝えします。
これからご紹介する私独自のやりがいに、共感できるところもあれば、ちょっと言ってる意味わかんない!というところもきっとあるでしょう。
そんなふうにご自分の感覚と照らし合わせながらこの記事を読んでいただくと、自分独自の「やりがい」そして「価値観」に気づくことになるかもしれませんよ〜。(保証はしませんが)
そして今回は、まだ公務員をやっている頃の過去の自分に向けて、過去の自分を慰めるために書いていきます。
クレーム対応
「クレーム対応」にやりがいを感じるだなんて、この人ちょっとおかしいんじゃない?と思われるのは覚悟のうえで、一番にこれを挙げました。
窓口や電話でのクレーム対応が好き!という職員はまれにはいますが、嫌な仕事のベスト5には必ず入ってくるでしょう(私調べですが)。
かなりひどい理不尽クレームでメンタル不調→休業→退職・・・という流れが増えていることも小耳に挟んでいるので、とても残念に思います。
世の中にはびっくりするような思考の持ち主や、驚くほどの行動力(!)のある方もいるのは事実で、公共の福祉である以上、「お帰りください」ということもできなければ、出入り禁止にもできません。
そこが、民間とは違う公務員のキツイところです。
私も、自らクレーム対応したいとは間違っても思っていません。
でも、人がいる以上クレームは避けられないし・・・
クレームが来ちゃったら、ある程度納得して帰っていただく結末にしたいし・・・
そのためには、どうすればいいのかな・・・
そんなふうに試行錯誤しながら、自分なりにクレーム対応を習得していきました。
そんななかで私が感じた「やりがい」とは・・・
- クレームから笑顔に変わった瞬間を垣間見た時
- 一つの困難を乗り越えた達成感
- 相手に自分の思いが伝わった時の充実感
こんなことは、割合としては少ないです。
でもまあ、それは仕方がないと開き直っていました。
もともと対人スキルの高くない私ですし、それに人間ですから相性などもあります(笑)。
そして、数々の失敗を重ね痛い思いをしながら得られたことは・・・
- 人それぞれ、他人には理解できない「正義」があることがわかった(それに正しいも間違いもない)
- 人は自分のことを話したいから、それを聴いてもらえるだけで満足することがわかった(自分だってそうですから)
- 対人スキル、コミュニケーション力が多少なりとも身についた(もともと低レベルではありますが・・・)
クレーム対応は、精神的、物理的(時間)にも相当ダメージをくらいます。
出来る限り短時間で穏便に帰ってもらうように対応することが求められ、事態を悪くしてしまうと評価が下がる可能性だってあります。
そんな高度なスキルが必要なのに評価をされない、本当に「割の合わない」仕事です。
でも、このクレーム対応の経験が、後の人生にかなり役に立ったと思っているのです。
この経験談をまとめた記事がありますで、よろしければぜひ↓
難しい案件の書類を仕上げた時
「原稿が仕上がった~!」という物書きさんのイメージに近いのでしょうか?(一緒にしてスイマセン・・・)
私が主にやっていた仕事は、あることで行政にお金を請求した人に対して、その基準に合っていれば支払い、そうでなければ支払わない、という判断をすることです。
そのために、すべてではありませんが、エビデンスに基づいた書類を作り上げることが必要になります。
論理的思考を持ち合わせていない私にとっては、けっこう困難な仕事なのです。
でも、その書類を仕上げないと先に進まない、請求している方が結果を待っているわけなので、一刻も早く作り上げなければいけないというプレッシャーが、常日頃からありました。
そんななかで感じた「やりがい」とは・・・
- 自分の仕事は、請求した方の生活に影響する可能性があるという責任感
- 難しい案件でも考えて悩んで仕上げることができたという達成感
- 一つの仕事をやり遂げた充実感
そして、ここで得られたことは・・・
文章力が鍛えられた(・・・と思う)
毎日書類を作成していれば、どんなに文章を書くのが得意でない人でも(私のこと)、文書作成に慣れていきます。
ただ私の場合は、未だに「要点を絞って短くまとめる」のが苦手であることは、このブログを読んでおわかりになるでしょう(笑)。
さて、そんな渾身の思いで作り上げた書類ですが、その後に「上司の決裁」が立ちはだかります。
役所あるあるの一つです。
それもなかなかの難関でございまして、これをいかに通せるのかも、ある意味「やりがい」だったのかもしれませんねぇ。
ありがとうの言葉
公務員という職種に限らず、人から「ありがとう」と言われれば、よほどのへそ曲がりさんでない限りは、たいていの人はうれしい気持ちになると思います。
- 人に役立てたことで、自分を肯定できたり自分の存在価値を高められる→よりよい仕事をしていく原動力となる
- 特に公務員になる人は、志望理由として「社会貢献をしたい」「人の役に立ちたい」ということが多いので、その傾向が強い。(と思われる)
それが入庁してしばらく経つと、そんな理想と現実のギャップに驚いたり、落胆したりします。(そうですよね?)
どれだけ誠意をもって仕事をしても「ありがとう」なんて感謝されるどころか、「税金ドロボー!」なんて罵声を浴びせかけられる厳しい現実・・・(涙)
でもそれも、そのうち慣れてしまいます。(いや、慣れませんね、やっぱり凹みます。)
そんなこんなで、仕事で感謝されることは、そのうち期待しなくなります。
だからでしょうか。
思いもかけず「ありがとう」と言われると、心の底からうれしくなるのです。
「自分、ただ当たり前のことを粛々と淡々と遂行しただけですから〜」(←公務員チックな言葉にしてみました)
そんなかたくなった心(?)を、ちょうどこの時期のやさしい陽ざしにように、ほっと和らげてくれるのが、お客様の「ありがとう」なのです。
私が「やりがい」を感じていたことは、来庁者、利用者の方が、こんなふうに思ってくださることでした。
- この役所を利用して、問題が解決した 「ありがとう」
- 自分の思い通りにはいかなかったけど、話を聞いてくれて心が楽になった 「ありがとう」
- ここに来てよかった!「ありがとう」
これももちろん、いつもというわけにはいきません。
でも、そんなふうに来庁者に思っていただくために仕事に取り組んできた職員も、意外と(?)私の周りにはいましたので、触発されたところもありました。
理想論かもしれませんし、そんな余裕がどの役所もないことはわかっているつもりです。
でも、私が思う役所の役割や存在意義は、あくまで現時点での話にはなりますが、民間で行うに難しい事業を、最後の最後のセーフティネットとして行うことだと思っています。
それを必要としている人がいるからですが、ある意味大変なことでもあります。
でも、そんななかでの「ありがとう」は、やはり極上なのです。
過去にこんな記事を上げてますので、よろしければ覗いてみてくださいね↓
おわりに:公務員経験は無駄ではない
公務員の仕事のやりがいについて、私が感じたことを挙げてみました。
同じ公務員の仕事でも、人によってやりがいは違いますし、「公務員にやりがいなんてない」という人もいて、それも間違いでないと思います。
でも、ほんの一瞬でも、これはおもしろい!とか手ごたえがあるとかやり切った感があったものが、自分が感じるやりがいであり、「その人が大切にしたいもの=価値観」が浮き彫りになっていると思うのです。
そして、その価値観が、自分らしい生き方の大きなヒントになるのかな・・・なんていうのが私の持論です。
私が今回この記事をまとめながら気づいたことは、当時自分が感じていたやりがいやそれにより得たことは、今のブログ運営につながっているということです。
「後からどうにでもこじつけられるでしょ?」という声が聞こえてきそうですし、事実そうかもしれません。
でも、自分が公務員時代にやってきたことは、無駄そうに見えても決してそうではないし、何年後かに活かされることもあるかもよ〜なんていうことを、当時の自分に伝えたいです。
そうしたら、もう少し違った気持ちや目線で仕事に臨めたかもしれないからです。
ま、過去は過去ですから、終わったことはどうでもいいんですけどね(笑)。
ありがとうございました。